過食について
今日もこんな時間に睡眠薬が効いた状態でふらふらと歩いてコンビニに向かい、菓子パン2つとおにぎり1つを買った。
意識が朦朧としているので、普段買わないようなおにぎりなんかも買ってしまう。
帰り道、(一つだけ一つだけ、あとは朝)と何度も自分に言い聞かせた。
けれどやっぱり家に着くと全て食べてしまった。
ところで、このくらいでは"過食"ではなく"暴食"なのだろうかと思うことが多々ある。
過食と暴食を分けるのは、当事者の精神状態にあるのではないか、と思う。
健康な人にとっては、この時間にこのくらいの食事量はおそらく"食べすぎたな"という認識であると思う。もしかすると"ちょうどよい"と思う人もいるかもしれない。21時や22時の夜食や食事なんて、仕事をしていたり友人と遅くまで遊んだときは普通の時間帯だろう。
しかし摂食障害にすれば、こんな時間にカロリーを摂取することは、それはもう地獄だ。
しかも毎回"食べすぎて気持ち悪い"状態になるまで食べるのを辞められない。
吐くかどうかは別として。(過食に留まるか、過食嘔吐に至るか、ということ)
意志が弱いと言われてしまえば、本当にそれまでの話だと思う。
だけど、
過食を持つ人にとって、"過食"という行為は「食べすぎちゃった」どころの精神状態ではなく、本気で「死にたい」と思えるほどの行為だ。
健康な人は食べすぎたくらいで「死にたい」と強く思うだろうか。それは有り得ないと思う。
でも摂食障害にとっては自分の体重と体つきに異常なほど固執しているため、「今の食事で太るくらいなら死にたい」と強く思うのだ。
そして死ぬよりも簡単な、食べたことをできるだけ無かったことにできる方法がある。
それが嘔吐だ。
食べたものを吐くことで、胃がエネルギーを回収する前に無かったことにする。
しかしこの"過食嘔吐"における"嘔吐"は、比喩ではなく、血が滲むほどのつらさと共に行うものだ。
吐くためにはまず、大きめのスプーンの柄を喉の奥まで突っ込む、するとまず嗚咽が漏れる。
この時すでに苦しいのと気持ち悪いのと惨めさでぼろぼろと泣いていることが多い。
そしてぎりぎりまで伸ばしたスプーンの柄で、喉を突っついて嘔吐を促す。
これが本当につらい。
最初は嗚咽しか漏れず、げえ、げえ、と声が出るだけで、他に胃酸が少しせり上がってくる。
この時間がいつも果てしなく感じる。
便器に頭を突っ込み、できるだけ吐きやすいような体勢で、涙と鼻水をだらだら零しながら必死に嘔吐を促す。
ぺたぺたと喉の奥を何度も何度も突いていると、やっと胃酸で溶かされかけた食べ物が逆流してくる。
そして便器の中にそれを吐く。
1回で出る量は食べた量の1/6にも満たないと思う。これも体感だけども。
以前摂食障害について調べたとき、専門医が過食嘔吐によって吐ける量は摂取した量の半分も出てこない、と言っていた。
私もそう思う。
できることならもちろん、食べた分すべてを出してしまいたい、嘔吐中も体の中でエネルギーの回収は行われていると思うけど。
しかしやり方が悪いのか、私は喉から流血してしまい、何度か嘔吐を繰り返すうちに血を吐くようになってしまう。
これが物凄く痛い。
胃酸が直に傷に染みるから。
こうなるともう吐けなくなって、私の場合は強制で過食嘔吐が終わる。
口からも鼻からも出ている吐瀉物と、涙と涎でぐしゃぐしゃになった顔。
惨めで惨めでしょうがなくて、いつもしばらくその場でへたり込んでトイレで放心している。
無理やり吐くという行為は心臓にも食道にも悪く、嘔吐が終わったあとはこのまま死ぬんじゃないかと思うくらい心臓がばくばく鳴っていて、息が上手く吸えない。
どうしてこんな無駄なことをしてしまうんだろう。
食べすぎるまで食べるのを辞められないこと、食べて吐くこと、その吐いた量が上手くいっても食べた量の半分ほどなこと、
全部分かっているのに、
やめたいのに、やめられない。
摂食障害に対する薬はない。
自力で治すしかないのだ。
身体にも負担がかかるこの行為を早くやめたいと思いながら今日も吐いている。